運も味方につけた小川投手のノーヒットノーラン

スポーツ

8月15日、対横浜DeNAベイスターズ戦でヤクルトスワローズの小川投手がノーヒットノーランを達成した。スコアは9-0、出した走者は四球3つ、失策1の4人。

「報知新聞」

【ヤクルト】“ライアン”小川泰弘ノーヒットノーラン…史上82人目「実感はないです」
 ヤクルトの小川泰弘投手(30)が15日、横浜スタジアムで行われたDeNA11回戦でプロ野球史上82人目、通算93度目のノーヒットノーランを達成した。打者32人に対して3四球と2失策による走者を出した

ベイスターズの試合はほぼすべて、球場または球場にいけない時はテレビなどで観戦している筆者は、この試合もダゾーンで観ていた。4回で6-0とヤクルトがリードし試合が序盤でほぼ決まりかけると、中盤からは試合の興味は小川投手のノーヒットノーラン達成に移っていた。

ノーヒットノーランとは無安打無得点試合(1本もヒットを許さず、さらに1点の得点も与えない試合)のこと。これまで日本においての達成者は81人で、小川投手は82人目となった。

実はこの試合の10日前の8月5日にも楽天の涌井投手がソフトバンク戦で、ノーヒットノーランの達成まであと2人まで迫るピッチングをしていた。涌井投手も小川投手と同じく、全く打者を寄せつけないピッチングをしていたのだが、9回1アウトから川島選手にヒットを打たれてしまった。

ノーヒットノーランを達成した小川投手と涌井投手のピッチングは素晴らしく、違いを強いてあげれば、ほんの少しの運の差だったような気がする。それほど2人のピッチングは素晴らしかった。

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◎打球の運

涌井投手が打たれたのは、9回表6-0、1アウトランナーなしで迎えた場面。代打の川島選手を2-2からのストレートで詰まらせたのだが、力なく上がった打球はちょうど2遊間の間にポトリ。記録はもちろんヒットでノーヒットノーランはついえた。

打った川島選手のこの打席までの打率は.233、安打数は13。この日の涌井投手の調子なら抑えらる可能性が高かった。現に芯を外したどん詰まりの打球を打たせていた。しかし、不運にも打球は野手のいないところへ飛んでしまったが、フルスイングしていたために生まれたヒットだった。

筆者は学生時代、「打てもしないのに、振り回すな」と監督からよく言われたが、天邪鬼な筆者はそれでも振り回していた。思い切り振れば内野の頭を超す確率は高くなると考えていたからで、実際、ポテンヒットは誰よりも多かった。

川島選手とは逆に、ベイスターズの選手は終盤になると、フルスイングせずに当てにいくバッティングをしていたように思う。

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◎記録の運

実は小川投手は2回に大和選手にバットの芯で捉えられ、ライトへ会心の一打を打たれていた。大和選手は小川投手の高めのストレートを捉え、打球はライトを守る濱田選手の前へ。

すれすれで濱田選手が捕球したかに見えたボールはグラブに当たってグラウンドへ転がった。しかし、公式記録員の判断はヒットでなくエラー。濱田選手は球場の照明を目に入れてしまい、打球を見失いながらも、グラブの先にボールをなんとか当てたのだがこぼしたのだった。

プレイの結果が失策であるかどうかは、公式記録員の判断による。

通常、太陽光や照明が視界に入り打球を見失って、野手が打球を捕球できなかった場合、ヒットと記録されることが多い。そして、照明が目に入ったケースでヒットと記録される場合、グラブに当たったか当たっていないかが判断材料になることが多い。この試合の記録員は、濱田選手のプレーがグラブに当てたことで、普通の守備行為をすれば捕ることができた(失策)と判断したのではないかと思う。

もし濱田選手がグラブに当てていなかったら、記録員はヒット(普通の守備行為をしても捕ることができない)と判断した可能性は高い。

ただ、解説の谷繁氏が「このエラーはかわいそうだ。あれをエラーにされたらたまらない。照明安打という言葉もあるくらいだ」と言っていたくらい、判断は微妙だった。

いずれにしても、ノーヒットノーラン達成には実力+運が必要だ。そういう意味ではあと2人の場面でポテンヒットのような当たりでヒットになった涌井投手は不運だが、実はそれ以上に不運な人もいる。

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西武の西口投手は3回も逃す

西武ライオンズの西口投手は過去、終盤までノーヒットノーランを続けながら3回も(そのうちの1つは完全試合)逃している。

<1回目>

2002年8月26日、対千葉ロッテマリーンズ戦。福浦選手の四球による出塁1つに抑えて9回2死までノーヒットノーランだったが、小坂選手に中前打されて逃した。

<2回目>

2005年5月13日、対読売ジャイアンツ戦。清原選手の死球による出塁1つに抑えて9回2死までノーヒットノーランだったが、清水選手にスライダーを右翼席に本塁打されて逃した。

これだけでも十分に不運とはいえ、自分で打たれたので納得はすると思うが、3回目は不運を通り越して悲運、実質、完全に抑え切っていたのだから。

<3回目>

2005年8月27日、対東北楽天ゴールデンイーグルス戦。西口投手は9回終了まで1人のランナーも出さず、完全に抑えていて普通ならこの時点で完全試合達成。しかし味方も0点だったために延長戦に突入。その延長10回表、沖原選手に安打を打たれて快挙を逃した。

西口投手は獲得したタイトルは最多勝利は2回、最多奪三振は2回、最高勝率1回と超1級投手だが、日本シリーズでも運に見放されている。日本シリーズでの登板回数は7度。いずれも先発だが、1度も勝利していない(5敗)。

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ダルビッシュ投手も完全試合未遂

ダルビッシュ投手は完全試合を未遂している。しかもメジャーでの試合でだ。完全試合とはヒットだけでなく、四球やエラーを含め1人もランナーを出さない試合をいう。

2013年4月2日、アストロズ戦で9回2死まで完全試合の投球を続けたが、ゴンザレス選手にセンター前ヒットを打たれて逃した。

ノーヒットノーランや完全試合はやろうと思ってできるものではない。運の要素がかなりあるもの。小川投手は実力はもちろん、運も味方につけて歴史的な記録を打ち立てたと思う。

小川投手、おめでとうございます。