アイキャッチの写真を見てみてください。右の写真の方が傾いているように見えませんか?
実はこの写真、まったく同じ写真なのです。
ピサの斜塔錯視
マギル大学の科学者「フレデリック・キングダム・アリ・ユネッシ、イリーナ・ゲオルギュー」によって発見された錯視の写真です。
視覚系が2枚の写真を同じ情景の1部として捉えてしまうからだと言われています。
普通なら隣あう2本の塔は垂直に伸びるため、塔の輪郭は奥へいくほど互いに近づくように見えます。
しかし、この2本の塔のイメージは互いに近付いていかないため、脳の視覚系は並んだ2本の塔が、互いに離れていくのだと考えます。
写真をみた人は、そうしたイメージを見ることのなるのです。
ゴリラの錯覚
脳が騙される話しはいろいろありますが、この話しも面白いです。
ある脳科学者が面白い実験をしました。実験内容は次のとおりです。
・被験者にバスケットボールをしている2つのチームのビデオを見せます。
・ビデオは3分で終わります。
・1チームは白のユニホーム、もう1チームは黒のユニホーム。
・被験者は片方のチームがしたパスの数を数えるよう指示されます。
さてパスは何本だったでしょうか?という話しなのですが、これだけでは面白くありません。
実はこの3分のビデオの中に、ゴリラの着ぐるみを着た人が現れるのです。
ゴリラはバスケットボールをしている人たちの中に入り、カメラに向かって胸を叩き、やがて向きを変えてゆっくりと去っていきます。
驚きの結果ですが、なんと、半数の被験者はゴリラが出現したことに気づかなかったのです。
これは一体どういうことなのか?
優しいタスクに比べて、神経を集中するタスク(仕事)では、脳は集中しそうな情報を強力に抑制してしまうからなのです。
ただ、気づかなかった半数の人は、気づいた人と同じ時間(1秒程度)ゴリラを見てはいたのです。
つまり、ゴリラよりバスケットボールに目を奪われるからではなくて、ボールを数えるというタスクのせいで注意がゴリラに及ばなかったせいなのです。
つまり視野に入っていても、脳が見えないものは見えないのです。
「脳というものはすすんでだまされたがる」ものだというお話しでした。
出典は「脳というものはすすんでだまされたがる」(角川)でした。