今後の日韓関係を大胆に予測する(アゴラ掲載記事)

メディア掲載

1.  日韓関係の現状

徴用工問題で日韓が絶対に歩み寄れない理由」という記事を書いてから7ヶ月が経つ。この記事の最後で、『行き着く先は近い将来、「事実上の断交」になるとしか今は考えられない』と書いたが、残念ながら現状はその方向に向かって進んでいるように思える。

写真AC:編集部

経済産業省が、韓国の主力産業である半導体や液晶パネルに欠かせない材料であるフッ化ポリイミド、レジスト、エッチングガスの3品目について、7月4日から個別の出荷ごとに国の許可申請を求める方針を正式発表したのが7月1日(参照:産経新聞)。その後、7月24日世界貿易機関(WTO)一般理事会で、輸出管理の厳格化について討議された。韓国は「自由貿易への逆行」と不当性を訴えたが、日本は「安全保障のための必要な措置だ」と正当性を主張、結局、韓国は日本の「安全保障上の運用見直し」という主張を覆せず、韓国の主張は受け入れられなかった。韓国はWTO提訴の準備を進めるとしている。

8月2日には韓国のホワイト国除外の閣議決定が行われる予定で、8月下旬にも実施される。もし、韓国がホワイト国から外れれば、優遇措置の除外対象は現在の半導体材料3品目から、電子部品や工作機械など1000品目以上に拡大し、半導体に次ぐ主要産業の石油化学製品や自動車も打撃を受けることになる。

2. 日韓問題の本質

しかし、今話題になっている「韓国への輸出管理運用見直し」は日韓関係問題の根源ではない。あくまでもこれは韓国の輸出制度管理の問題で、日韓関係の本質である「旧朝鮮半島出身労働者問題」への対抗措置ではないからだ。よって仮に世耕経産大臣が言っている、「通常兵器キャッチオールについての法的根拠が不明確」であること等をクリアし管理を適切にしたとしても、今の日韓関係の問題は解消されない。

今後の日韓関係が動くとしたら、旧朝鮮半島出身労働者問題の裁判の結果原告側が差し押さえている日本企業の資産の現金化手続きが完了するときだ。原告側は7月23日に三菱重工の資産の現金化手続きを実施したが、これは日本製鉄と不二越を含め今回で3社目の措置だ。現金化するための査定には時間がかかるため、年内の売却は難しいとされており、自体が動くとしたら年明け以降になる。

そして、この差し押さえ資産が現金化されたときこそが、日韓関係が瓦解に向かうときである。麻生大臣は3月12日の国会答弁で「関税、送金停止、ビザの発給停止」と具体的な報復措置に言及しており、もし資産が現金化されれば実際にいずれかの措置を取ると思われる。(参照日経新聞)。

先の記事にも書いたがこの問題は日本にとってみると、日韓併合が不法行為であったことを認めることであり、国際条約の破棄を認めることになる。よって絶対に引くことはできない。よく、「日本は韓国に対して大人の対応をすべきだとようやくわかった」、というような記事を目にするが、それは日本が過去の外交姿勢を省みてなおしたものではない。ただ単に絶対に引けないところまで来ているからそうしているのであり、日本の根本的な外交姿勢(韓国以外も含めて)はなんら変わっていない。

3.  韓国の世論と行き着く先

よって、この問題を解決するためには、韓国政府が国内の司法の判断よりも国際法が上回ることを認識して、韓国政府が補償する道だけである。だが、それは韓国にもできない相談だ。7月17日に、輸出管理運用見直しについて韓国に批判的な記事を書いた朝鮮日報の記事に対して、韓国大統領府の報道官は、「何が韓国と韓国民のためなのか答えるべきだ」と批判し、首席秘書官も「日本で嫌韓感情の高まりをあおるな」と批判、別の高官も「国益の視点でみるよう望む」と述べた。

政府関係者が言論に対して口を出すのは日本からすると正直異常に思えるが、韓国では驚くことではないのかもしれない。言えることは、輸出管理運用見直しですら「これ」なので、いわゆる徴用工について韓国の言論は推して知るべし、この件以上に自由にはならないということだ。

「世論の後押し」もあり、徴用工問題に関しても韓国は2国間協議の席にもつかず、仲裁役の第3国の委員の選定にも応じていない。どう考えても今後も妥協点は見いだせず、残念ながら日韓関係は累卵の危うきにあるどころか、もはや積み重ねた卵の殻にひびが入り、割れるのを待つばかりなのではないかと思う。

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