ツイッターやネットで「消費税減税」がトレンドに入ってきて、またぞろ消費減税の話しが湧いてきました。
「安倍首相が財務次官を代え、20日に就任する太田氏に財務省での消費減税減税をまとめさせようとする腹づもりである」というニュースや、「この人事は新型コロナによる景気悪化を受け、経済のてこ入れを目指す安倍首相が、財務省のトップ人事で地ならしを進め、減税の是非を問う名目の衆院解散・総選挙をするのではないか」というニュース。
なので今回は「消費税減税はありやなしや」について話しをしたいと思います。
消費税の逆進性
消費税増税に反対する多くの人はこれを持ち出す言葉に「逆進性」というものがあります。逆進性とは、所得の少ない人ほど負担が多く、所得の多い人ほど負担が少なくなることで、所得が多いほど税率が高くなる、所得税の累進性と反対での言葉です。
通常税金は、所得が高い人ほど多く課税されるべき(累進的)であるべきとされているため、この消費税の逆進性は税としてあるべきではないという理論です。
金持ちほど多く負担する消費税
「逆進的」というのは所得の低い人の税率が高くなるという意味ではなくて、所得に対する負担率が大きくなること。
よって、普通に考えれば、所得の高い人は多く消費(ものを買う)ので当然、消費する額も多くなり、それに伴い所得に対する負担率も大きくなるので必ずしも逆進的だとは言えないのです。
確かに食品だけとらえれば低所得者の方が負担率は高くなるかもしれませんが、それはおしなべて全体をみた負担率とは別の話しです。
低所得者優遇の公的なサービス
ちなみに、高所得者はいろいろな面で損をしています。例えば、不妊治療には都県や区市から公的補助が出ますが、夫婦合算の所得が上限を超えていると公的補助を全く受けられません。ちなみに東京都の支給額は次のようになってます。
(出典:東京都)
治療1回について最大で30万円が支給されます。ちなみに、不妊治療にかかる平均費用は190万円程度。そうなると回数にもよりますが、都道府県や区市町村が6-8割は負担してくれることになります。しかしこれには所得の条件があり、所得額が730万円以上になると公的補助額は0になります。(東京都の場合)
(出典:東京都)
税金を多く収めている人ほど恩恵を受けられないという理不尽な構図です。しかもこの公的サービスが高収入者ほど制限される話は他にもたくさんあります。例えば、
・医療費
・遺族年金
・住宅ローン減税
・奨学金
・児童手当
・育休・産休手当
などで、これらは収入の上限を超えると全く補助されないか、補助されても額が激減されるのです。
あまり知られていない社会保障の不都合な真実
消費税の税収は約18兆円、社会保険料の収入は70兆円と4倍の開きがあります。そして社会保険料のほとんどは現役世代が負担して、高齢世帯に給付されています。
消費税に反対してる人は自分の給料から15%も社会保険料が引かれ、会社も15%を負担していることをあまり知らないのです。30%(15%+15%)に目をつぶって10%に反対しているのです。
そしてその差の20%は社会保険料を負担しない高齢者と年金免除の貧困層に使われている。消費税は消費の10%、社会保険料は所得の30%。どっちの負担が大きいかは小学生でもわかる話し。
消費税減税されれば社会保障費が上がる
これからますます少子高齢化になり、年金・医療・介護と社会保障費の急増するだろうことは、誰でも知っている話しで論を待たないと思います。そんな中、消費税が減税されれば今後の社会保障費はどうなるか?普通に考えればわかります。
高齢者や超貧困層は負担しておらず、現役世代だけが負担している社会保険料のさらなる引き上げが待っているのは自明です。
消費税は逆進性が強く弱者に厳しいから消費税を引き上げるべきではないという考えは、結果的に社会保険料に跳ね返り、若者や現役世代の首を締め、彼らの生活をますます苦しくさせるのです。
社会保障費の方が逆進的
なのに、なぜ人は消費税減税に賛成するのか?高齢者ならわかるが現役サラリーマンまで。それは消費に応じて「定率」で課税される消費税が逆進的というなら、低所得者も同じ「定額」を徴収される国民年金保険料のほうがもっと逆進的だということを知らないからです。
人は見えるものしか見ない
先に言ったように、社会保障料はあなたの給与から15%も引かれています。さらに会社も15%負担しています。会社負担の15%はいいや、などと思っていたらアホです。
その15%の社員が稼いだ売り上げから成り立っているものなので、負担がなければあなたの給与明細の収入側に加えられているのです。正直、下手をすると、この社会保険料の存在さえも知らずに消費税増税反対を叫んでいる人がいます。
なぜそうなるのか?コロナ脳もそうですが、人は見えるものしか見ないからです。ワイドショーでコロナの感染数を見せられるとそれだけで恐れおののくのです。ここ1ヶ月の死者数、重傷者数、実効再生産数、退院者数などは見せられないから見ないし調べもしない。
消費税も同じで、他の重要な数値に目を向けないと結局損をするということになるのです。